小雨の降る秋の朝。マルシェで新鮮なブショーのムール貝を見つけました。その日の料理は、小さい頃に祖父がよく作ってくれていたムール貝のマリニエール(白ワイン蒸し)に決定。普段はポテトフライと一緒に食べる一品ですが、今回の付け合わせは今が旬のココドゥパンポル(パンポルの白いんげん豆)を使って、母の定番トマト煮込みに。肌寒い日でもしっかり温まる食事になりました。
「ブショーのムール貝」とはノルマンディーで行われている「ブショー」と呼ばれる木杭を使う方法で養殖されているムール貝です。小ぶりでねっとりとした肉質は、フランスでAOP(原産地保護呼称)に認定されているムール貝の中でも最高峰とされ、EUのSTG(伝統的特産品保証)認定も受けています。スーパーで一年中見つけられるブショーのムール貝ですが、旬は7月から2月です。そして、トマト煮に使用したココドゥパンポルですが、「パンポル」は北ブルターニュにある地域の名前です。
20世紀初頭、水兵によって南米より種が持ち込まれたこの野菜は今ではパンポル地方の名産品となっています。さや付きで販売され、生野菜として取り扱われているこの白いんげん豆は、1998年にフランスの生野菜として初めてAOC(原産地名称統制)認定を受け、認定された85の地区で収穫されたものだけがココドゥパンポルと呼ばれます。旬は7月から10月です。
4人分
- ココドゥパンポル* 1,5kg
- ブショーのムール貝 2L (約1,5㎏)
- 玉ねぎ 1個
- エシャロット 1個
- トマト 1個
- ローズマッシュルーム** 250g
- 生クリーム 10cl
- 白ワイン 10cl
- 無塩バター 20g
- ローリエ1枚、タイム1束
- 塩コショウ
*風味は違いますが白いんげん豆で代用可能。
**普通のマッシュルームに比べて傘が薄茶色。肉質が密で、加熱等による収縮率が低いので加工用にもよく使われる。香りや風味が濃いのが特徴だが、ない場合普通のマッシュルームで代用可能。
①ココドゥパンポルをさやから出す。
②マッシュルームは石づきをカットしてから軽くすすぎ、約2cmの大きさになるように1/4か1/6に切る。トマトを3㎝の角切りに、玉ねぎは皮をむいてから薄切りにする。
③底浅の鍋にオリーブオイルをたらし、玉ねぎを2分ほど炒めてからマッシュルームを加える。更に2分炒めた後、ココドゥパンポルを投入する。全体を混ぜながら2分炒め、材料にかぶるくらいの水を入れる。塩コショウした後ローリエとタイム、トマトを加える。その状態から弱火で1時間煮込む。
④その間にムール貝の準備をする。流水で貝殻の表面の汚れを落とし、たわしなどでこすり洗いして、汚れやひげ根を取っておく。
⑤エシャロットの皮をむき、薄切りにする。鍋にバターを溶かしエシャロットが飴色になるまで炒める。そこに白ワインをかけ、ムール貝を入れる。蓋をして、時々鍋をゆすりながら。貝の口が開くまで蒸す。
⑥鍋の中の蒸し汁をお玉で一杯取り出し、縁の高い容器に注ぐ。生クリームを加え、ブレンダーで泡立て乳化させたら味を調える。
⑦ココドゥパンポルとムール貝をお皿によそい、泡立てたエマルジョンソースを添えて召し上がれ。