もつ焼き「鳥茂(とりしげ)」

私は知人のOさんに色々と美味しい店を紹介してもらっていますが、今回は渋谷区代々木にある「鳥茂」を教えてもらいました。創業昭和24年、「鳥茂」という名前ですが、焼き鳥ではなくもつ焼き屋の老舗です。昔は串に刺して焼いたものは全て「やきとり」と呼んでいたため、この店名になったとか。

予約電話の時に「Oさんの紹介ですが」と言ったら、なんと店のカウンター席１番に案内されました。隣の2番席で食事をしていた「鳥茂歴10年」という方から伺ったところによると、１～5番席までが大将（三代目店主、酒巻祐史(さかまきゆうじ)氏）が直接焼いてくれるVIP席だそうです。恐縮しながら三代目と名刺交換し、「初めてで食べ方がわからないので、お任せします」と頼んだら、「任せてください。焼き方は生、半生、よく焼きのどれが好みか仰ってください。途中でステーキも出しますが、どの位の量を食べられますか？もしきつくなったらストップかけてください」と非常に丁寧な対応。安心してシャンパンを頼みました。

まずは豚レバー半焼きと、大腸が出てきました。全く臭みがありません。続いて出て来たつくねは 一串に三個でしたが、なんと牛・豚・鶏と三つの中味が違うつくねでビックリしました。次に豚の舌が出てきましたが、燻製がしっかりしているので豚と言われなければそうは思わないでしょう。食事をしながら、隣の2番席の方とお話しました。「ここは昭和24年創業の東京を代表するもつ焼きの老舗で、肉詰めピーマンを考えたのもここの初代だよ。三代目はいつ来ても前と違ったものを出してくれる。大したものだよ」と大絶賛。

さて、その後に牛脂肉のすき焼きが小さなお椀に入れて出てきた時にはさらに驚きました。一緒に入っている豆腐の上には生山椒が置いてあり、溶き卵と牛脂肉・豆腐・生山椒と味のハーモニーにウンウンと頷く私。すき焼きの後には、牛の最高級部位シャトーブリアンが２切れ。塩を少しつけて肉のおいしさをじっくり味わいました。

そして初代からの名物、ピーマンの肉詰めを終えると、酒巻さんから「今度はテンダーロイン¹牛や豚の腰の上部に位置する柔らかいヒレ肉。この中で一番柔らかい部分がシャトーブリアン。因みにサーロインとは背筋の腰に近い部分のこと。ヒレよりも脂が多く「霜降り肉」にはこの部分が多い。ですけど、白いご飯と一緒に召し上がってみてください」と勧められました。ステーキが終わると、さっと手渡しでキャビアの入った一口サイズ海苔のお握りがさっと出され、な、何なんだ、この店は？と圧倒されてしまいました。

お握りを食べたら、次は鶏のこめかみ部分のネギマ焼き鳥です。エンドレスになりそうなので、「じゃ、何か締めをください。それでお勘定を」と頼むと、串焼きとは全く関係ないにゅう麺が出てきました。鰹節、昆布、醤油そしておそらく豚肉の出汁でしょう。　

初代はいわば「創作メニュー」というジャンルの先駆け的存在だったそうですが、坂巻氏もしっかり祖父の精神を引き継いでいます。老舗の味を守りつつ、新しい味を研究し、伝統の進化に日々切磋琢磨している三代目の姿に非常に感銘を受けた夜でした。

またリピートしたい店が一軒増えました。

鳥茂　鳥茂 – 串焼　豚料理　肉料理 (gorp.jp)
〒151-0053
東京都渋谷区代々木2-6-5
050-5493-3137

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  牛や豚の腰の上部に位置する柔らかいヒレ肉。この中で一番柔らかい部分がシャトーブリアン。因みにサーロインとは背筋の腰に近い部分のこと。ヒレよりも脂が多く「霜降り肉」にはこの部分が多い。